やがて成長し、高校生になった謎留は、冬のある日、かつての自分と同じように、サンタクロー
スを信じている子供達を見た。
「そうだよな~。良く考えてみりゃ、魔法でも使えなきゃ、サンタクロースみたいに、どこか
の誰かの家に入ってモノをあげるなんて出来ないよな~」と小声で言った。
しかし、数日経って、テレビのニュースで「〝サムターン回し〟という手口で家の外から金属
の棒を使ってカギをこじ開け家に侵入され、モノやお金が盗まれた」という事件があちこちで
起こっていると知った。
謎留は、(そうだ!大人になったら、このやり方で色んな家に入って色んな子供達にプレゼン
トを渡そう!そうすれば、自分が憧れのサンタクロースになれる!!)と思った。それと、家
のドアというのは、〝サムターン回し〟で開けられるモノばかりではないので、色々なピッキ
ングのやり方も学んだ。
しかし、何ともまぁ、狂った発想だった。いくら他人にモノを渡そうが、〝サムターン回し〟
やピッキングは犯罪だ。だが、この時、謎留は、そうやってたくさんの子供達にプレゼントを
渡せば、両親が死んだ時にポッカリと開いてしまった、大きな心の穴を埋められる気がしたの
だ。