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サンタクロースパイ

30.今年も、無事、活動終了?

また時間を遡り、霧河が27軒目に入った家での出来事。

〝ガチャ〟

侵入は、言うまでもなく、いつも通り、何ともなく上手くいった。だが、問題はその先だ。そ
の家では、プレゼントを渡す相手は親と一緒に寝ていて、ヘマして一人でも起こしてしまうと、
それが命取りになってしまう。なので、失敗は絶対に許されない。唾を呑むほど緊張しなが
ら、霧河は、「マグカップが欲しい」と言っていた女の子の枕元に、そっとマグカップを置い
た。その後も何ともなく、(良し!上手くいった!!)と思った。

その後、家を出て、いつも通り、入る時と同じやり方で、外からドアのカギをかける。

(フ~ッ!!緊張した!!!)と大きくため息をつく。で、また、引き続き、色々な家の子供達
にプレゼントを渡した。

ついに、最後の30軒目。その家は防犯セキュリティが堅く、入る事は難しかった。

霧河は、ドアの前にプレゼントをラッピングした箱ごと置く。

「フッ、こんな事もあろうかと、〝これはサンタクロースからの贈り物だ〟って書いた手紙を
たくさん用意してるんだよ」と言いながら笑う。

しかし、それは手書きだと、字の形や筆圧などで自分だと特定されてしまう可能性があるので、
パソコンで書いている。もちろん、それも手袋をした状態でしか触れた事がないので、指紋
も一切付けていない。

帰る最中、警察に見つかりそうになるが、とっさに、慌てて、たまたまそこにあった畑に慌て
て入って横になり、何とかやり過ごした。警察は、「ん?何か今、物音が聞こえた気がしたけ
ど、気のせいか。何ともなかったみたいだな~」と言った。

霧河は、「フ~ッ!危ねぇ!!危ねぇ!!まさか、ここでまたため息をつく事になるとは思っ
てなかった~!!それにちょっと、チビッちまった~」と言った。

「あ~あ~。服が土まみれになっちまった~。それにちょっと、今、チビって、ズボンも汚れ
ちまったし。まぁ、もう、全ての家にプレゼントを渡し終わったし、どうせこの服も、ほとん
ど黒だから良いんだけどさ」と、少しがっかりしながらもホッとし、「しかし、毎年、どれだ
け頑張っても、30軒ぐらいにしか届けられないのが残念なんだよな~」と言いながら家に帰っ
た。そして、その日のいつもの起床時間まで、わずか2時間ぐらいだが寝た。
red18
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